1.制度趣旨
関連者間取引について、恣意的な支払額の調整が行われ、取引内容や金額設定の根拠の把握が困難であるケースがあることを背景として、取引情報を把握できるように文書化することを目的としています。
2.制度の内容:誰に適用される制度ですか?
関連者と取引がある法人で、青色・白色を問わず幅広い内国法人が対象です。
関連者とは、持株関係や実質的支配関係がある会社です。実質的支配関係の具体例に次のようなものがあります。
・自社の役員の半数以上が相手会社の役員である
・売上高の相当部分が相手会社である
・事業活動資金の多くを相手会社からの借入れによって賄っている
3.どのような取引が対象ですか?
関連者へ支払う販売費、一般管理費その他の費用のうち、以下のものが対象です。
・関連者の工業所有権等(特許権・実用新案権・意匠権・商標権・著作権・著作隣接権・ノウハウ等)の譲渡や貸付
・関連者が有する経営資源(産業、商業、学術に関する知識経験や、研究開発、広告宣伝等)を活用した事業活動
・関連者が所有している専用資産(専ら関連者及び使用料を支払う法人の事業用に使うための資産)を使わせる使用料やその維持管理
・関連者から受ける経営の管理又は指導等に係る役務提供
対象は「販売費・一般管理費その他の費用」ですので、売上原価になるものはこの制度の対象外です。
また、たとえば親子会社間で資産を賃貸借した場合、必ずしも本制度の対象となるわけではありません。共同利用・維持管理・費用の負担配分なら対象になり得ますが、単純な賃貸借だけなら対象外と考えられます。
4.何を文書化するのですか?
法人税に関する規定で保存しなければならないとされている注文書や契約書・領収書・見積書等に必要記載事項の記載がない場合に、その記載がない部分を明らかにするものとして文書化する必要があります。明らかにすべき事項は以下のとおりです。
・工業所有権等の譲渡、貸付の場合
その工業所有権等の明細、果たす機能、対価の額の明細・対価の設定方法
・事業活動や役務提供、専用資産の貸付の場合
その事業活動や役務提供の内容、対価の明細・対価の計算方法
上記の内容は、第三者の立場から見て取引の内容や対価の設定の考え方等を客観的に確認できる程度であればよいこととされています。
5.いつまでに作成し、何年間保存するのか
原則は、その事業年度の法人税の確定申告書の提出期限までに作成し、7年間保管します。欠損金の繰越控除に関係する年度は10年間保管します。
6.文書を保存することと、費用・価格の税務上の妥当性はどのような関係ですか?
保存すべき書類には、第三者の立場から見て取引の内容や対価の設定の考え方を客観的に確認できる程度であれば良いこととなっています。
したがって、その文書上で金額の妥当性を証明するところまでは必ずしも求められていません。
しかし、文書を保存してさえいれば必ずしもその費用が認められるというものではなく、その文書を提示したうえで取引の内容や価格の妥当性の説明を求められることも考えられますので、留意が必要です。