情報提供 2026年3月25日
※本資料の作成にはCloude AIを利用しています
Anthropic 大規模アンケート調査 レポート
AIツール(ChatGPT・Claude等)を業務で使う場面が増えてきた昨今、「実際の利用者はAIに何を期待し、どんな不安を抱えているのか」を大規模に調査したレポートが公表されました。AI開発会社Anthropic(Claude の開発元)が2026年3月18日に公開したもので、159カ国・8万人超から集めた史上最大規模の定性調査です。今回はその内容を、会計事務所の業務に引きつけてご紹介します。

項目 / 内容

回答者はAIサービスの既存ユーザーであるため、「一般社会全体の声」ではなく「AIを使い始めた人たちの声」として読む必要があります。それを踏まえても、規模・多様性ともに他に類を見ない調査です。

「魔法の杖があれば、AIに何をしてほしいか?」という問いへの回答は9つのカテゴリに分類されました。

順位 / 期待すること / 割合 / 一言で言うと

「仕事効率化」の本音は「生活の質向上」

表面上は生産性向上を求める声が最多ですが、「なぜ効率化したいのか」を深掘りすると、「家族と過ごす時間を増やしたい」「好きなことに使える時間が欲しい」という声が浮かび上がります。仕事ではなく、人生全体の豊かさのためにAIを使いたいという動機が根底にあります。

回答者の約89%が何らかの不安を持っており、一人平均2.3件の懸念を挙げました。最大の懸念は「雇用喪失」でも「プライバシー侵害」でもなく、「AIの信頼性」でした。

順位 / 懸念の内容 / 割合 / 具体的な心配

希望と不安は「別々の人」ではなく「同じ人の中」に共存する

AIに強い期待を持つ人ほど、同時に強い不安も抱えていることがわかりました(感情的サポートを求める人は依存リスクを恐れる確率が3倍)。楽観派と悲観派に分かれているのではなく、一人ひとりの中で光と影が共存しているのが実態です。

会計・税務の仕事は「正確性」と「信頼」が土台です。このレポートの内容を、会計事務所の業務環境に当てはめて考えてみます。
① 「信頼性」の問題は、私たちの業種で特に深刻
最大の懸念である「ハルシネーション(もっともらしい嘘をつく)」は、一般用途では「ちょっと困る」程度でも、会計・税務の文脈では致命的なミスにつながる可能性があります。

・税法の条文・数字・申告期限の誤りは、クライアントへの直接的な損害となりえます
・「AIが言ったから」は法的・専門家責任の免除にはなりません
・LLMの出力は必ず一次情報(法令・通達等)で検証することが前提です

レポートでは法律専門職(弁護士等)の約半数が信頼性の問題を経験していることが示されており、法律専門職がAIの信頼性問題に最も直面している職種の一つであることが読み取れます。一方で、法律専門職においては意思決定効率化の恩恵についての評価も最大となっています。

実務上のポイント

LLMは「調査の起点」や「文章の草案作成」に有効ですが、税務判断の最終確認は必ず人間が行う、という使い分けが現時点では不可欠です。
② 「自分の判断力の低下」への懸念は、専門職として向き合う必要あり
レポートでは「AIに頼るほど自分の思考力が衰えるのでは」という不安が全体の21.9%から挙がりました。これは専門職に就く私たちにとっても他人事ではありません。

・AIに任せることで「なぜその結論になるか」を自分で説明できなくなるリスク
・若手・新人職員がAI頼りで基礎力を身につけられないケースへの懸念
・一方で、ベテランが効率化のためにAIを活用するのは合理的

AIを「思考の外注先」にするか「思考の補助線」にするか、で専門家としての価値が変わってきます。
③ 「経済的影響・雇用」への不安について
回答者の22.3%が雇用・経済面への不安を持っていました。会計業界では以下のような動きが既に起きています。

・記帳・仕訳の自動化:クラウド会計(弥生・freee等)との連携でさらに進展
・単純な申告書作成補助:AIによる入力補完が普及しつつある
・一方、複雑な税務判断・クライアントとの関係構築・調査対応はまだ人間が担う領域

視点の転換

「仕事を奪われる」より「単純作業が減り、より付加価値の高い仕事に時間を使える」という方向に適応できるかどうかが、今後の専門家の差別化ポイントになりえると考えられます。

このレポートが示す全体像を一言でまとめると、「AIは多くの人に具体的な恩恵をもたらしているが、信頼性はまだ発展途上であり、使い方次第で人間側にも良し悪しがある」ということです。

視点 / 現状 / 私たちの対応

【出典】Anthropic「What 81,000 people want from AI」(2026年3月19日公開)
https://www.anthropic.com/81k-interviews
※本資料は上記レポートをもとに、業務活用の視点から要約・解説したものです。