前回に引き続き、相当の地代を受け取っている場合の貸宅地及び支払っている場合の借地権の評価についてみていきます。
今回は貸宅地の評価についてみていきます。

借地権が設定されている土地について、相当の地代を収受していて、借地権の設定に際し権利金を収受していない場合や特別の経済的利益を受けていない場合の土地に係る貸宅地の価額は、土地の自用地価額の80/100に相当する金額によって評価します。

本来、「自用地価額=借地権価額+貸宅地価額」となりますが、VOL.39の「①相当の地代を支払っている場合」の権利金を支払っていない場合や特別の経済的利益を供与していない場合の評価額の通り借地権価額は0となります。
そのため、貸宅地の評価は自用地価額となるべきところ、この点については、借地借家法の制約や賃貸借契約による利用の制約等を考慮すれば20%を控除することが適当と考えられます。

借地権が設定されている土地について、相当の地代を収受していて、借地権の設定に際し権利金を収受している場合や特別の経済的利益を受けている場合の土地に係る貸宅地の価額は、土地の自用地価額からVOL.39の「①相当の地代を支払っている場合」に示した算式による額を控除した金額(相当の地代調整貸宅地価額)となります。

ただし、その金額が自用地価額の80/100を超える場合は、自用地価額の80/100に相当する金額によって評価します。

権利金を収受していない場合や特別の経済的利益を受けていない場合による評価は、権利金を収受している場合や特別の経済的利益を受けている場合による相当の地代調整貸宅地価額が自用地価額の80/100を超える場合の金額について、被相続人が同族関係者となっている同族会社に対し土地を貸し付けている場合については、その金額をその同族会社の株価評価で純資産価額に算入して計算します。

【例題】相当の地代を収受している場合の貸宅地の評価

1.権利金を収受していない場合

① 土地の自用地の価額 5,000万円
② 借地権割合 60%
③ 相当の地代の年額 5,000万円×6%=300万円
④ 実際に収受している地代の年額 250万円
⑤ 通常の地代の年額 200万円

【貸宅地の評価額】
5,000万円×80%=4,000万円

【同族会社の株価評価で純資産に算入する金額】
5,000万円×20%=1,000万円

2.権利金を収受している場合

(1)貸宅地の評価額が自用地価額の80%以下の場合

① 土地の自用地の価額 5,000万円
② 借地権割合 60%
③ 設定時に収受した権利金 1,500万円
④ 相当の地代の年額 5,000万円×6%=300万円
⑤ 実際に収受している地代の年額 250万円
⑥ 通常の地代の年額 200万円

【貸宅地の評価額】
(借地権の価額)
5,000万円×60%×(1-(250万円-200万円)/(300万円-200万円))
=1,500万円

(貸宅地の価額)
5,000万円-1,500万円=3,500万円
(5,000万円×80%=4,000万円 > 3,500万円)

【例題】相当の地代を収受している場合の貸宅地の評価

2.権利金を収受している場合
(2)貸宅地の評価額が自用地価額の80%超の場合

① 土地の自用地の価額 5,000万円
② 借地権割合 60%
③ 設定時に収受した権利金 600万円
④ 相当の地代の年額 5,000万円×6%=300万円
⑤ 実際に収受している地代の年額 270万円
⑥ 通常の地代の年額 150万円

【貸宅地の評価額】
(借地権の価額)
5,000万円×60%×(1-(270万円-150万円)/(300万円-150万円))
=600万円

(貸宅地の価額)
5,000万円-600万円=4,400万円 …①
5,000万円×80%=4,000万円 …②

① > ②
そのため、②の4,000万円とします。

【同族会社の株価評価で純資産に算入する金額】
① 本来の借地権の価額 600万円
② 同族会社の株価評価で純資産に加算する金額
 4,400万円-4,000万円=400万円
③ 同族会社の純資産価額に算入する金額
 600万円+400万円=1,000万円

借地権が設定されている土地について、収受している地代が通常の地代を超え相当の地代に満たない額を収受している場合の土地に係る貸宅地の価額は、土地の自用地価額からVOL.39の「①相当の地代を支払っている場合」に示した算式による額を控除した金額(相当の地代調整貸宅地価額)となります。

ただし、その金額が自用地価額の80/100を超える場合は、自用地価額の80/100に相当する金額によって評価します。

なお相当の地代調整貸宅地価額が自用地価額の80/100を超える場合の金額について、被相続人が同族関係者となっている同族会社に対して土地を貸し付けている場合においては、その金額をその同族会社の株価評価で純資産価額に算入して計算します。

【例題】相当の地代に満たない地代を収受している場合の貸宅地の評価

1.貸宅地の評価額が自用地価額の80%以下の場合

① 土地の自用地の価額 5,000万円
② 借地権割合 60%
③ 相当の地代の年額 5,000万円×6%=300万円
④ 実際に収受している地代の年額 250万円
⑤ 通常の地代の年額 200万円

【貸宅地の評価額】
(借地権の価額)
5,000万円×60%×(1-(250万円-200万円)/(300万円-200万円))
=1,500万円

(貸宅地の価額)
5,000万円-1,500万円=3,500万円
(5,000万円×80%=4,000万円 > 3,500万円)

2.貸宅地の評価額が自用地価額の80%超の場合

① 土地の自用地の価額 5,000万円
② 借地権割合 60%
③ 相当の地代の年額 5,000万円×6%=300万円
④ 実際に収受している地代の年額 270万円
⑤ 通常の地代の年額 150万円

【貸宅地の評価額】
(借地権の価額)
5,000万円×60%×(1-(270万円-150万円)/(300万円-150万円))
=600万円

(貸宅地の価額)
5,000万円-600万円=4,400万円 …①
5,000万円×80%=4,000万円 …②

① > ②
そのため、②の4,000万円とします。

【同族会社の株価評価で純資産に算入する金額】
① 本来の借地権の価額 600万円
② 同族会社の株価評価で純資産に加算する金額
 4,400万円-4,000万円=400万円
③ 同族会社の純資産価額に算入する金額
 600万円+400万円=1,000万円

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