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控除対象外消費税等について

2023年7月14日更新

税抜経理方式を採用している場合において、その課税期間中の課税売上高が5億円越

または課税売上割合が95パーセント未満であるときには、その課税期間の仕入税額控除税額は、課税仕入れ等に対する消費税額の全額ではなく、課税売上に対応する部分の金額となります。

したがって、この場合には、控除対象外消費税額等(仕入税額控除ができない仮払消費税額等の額)が生じることになります。

 

この控除対象外消費税額等のうち資産に係る控除対象外消費税額等については、これを

「繰延消費税額等」として資産計上し、5年以上の期間で償却することとされていますが

次の表のとおり、一定の要件に該当する控除対象外消費税額等については、一時の損金の額として経理することが認められます。

また、資産に係る控除対象外消費税額等の全額について、個々の資産の取得価額に算入する経理処理も認められます。スクリーンショット 2023-07-14 104933

 

(注) 消費税等抜きの交際費等の合計額に、交際費等に係る消費税等の額のうちその控除対象外消費税額等の額に相当する金額を加えた額を交際費等の額として、交際費等の損金不算入額を計算します。

画像1

インボイス制度導入後は、免税事業者などの適格請求書発行事業者でないものからはインボイスがもらえないため、消費税の仕入税額控除の適用対象外となります。

この控除対象外となる消費税部分については新経理通達14の2において「適格請求書発行事業者以外の者から行った課税仕入れに係る取引について税抜経理方式で経理をしている場合であっても、その取引の対価の額と区分して経理をした消費税等の額に相当する金額を当該課税仕入れに係る取引の対価の額に含めて法人税の課税所得金額を計算する。」とされ控除対象外消費税額等となるのではなく、対価の額に含めて経理することとされていますので、費用又は資産の対価の額として処理する必要があります。

今後免税事業者からの建物の購入については、徐々に控除対象外消費税額が増加しますので資産に係るものについては対価の額として含めるとともに、交際費等についても対価の額に含めて認識をする必要があります。

 

令和3年改正消費税経理通達関係Q&Aより

当社(9月決算法人、飲食業)は、インボイス制度導入後である令和 11 年 10 月1日に

免税事業者から国内にある店舗用の建物を取得し、その対価として 1,100 万円を支払いま

した。当社は税抜経理方式で経理しており、本件取引について支払対価の額の 110 分の 10

相当額を仮払消費税等の額として経理し、決算時に雑損失として計上しましたが、この場

合の課税仕入れに係る法人税の取扱いはどうなりますか。

なお、この建物は取得後直ちに事業の用に供しており、耐用年数 20 年で定額法により減

価償却費を算出しています。

〔取得時〕

(借方) 建 物 10,000,000 円 (貸方) 現 金 11,000,000 円

仮 払 消 費 税 等 1,000,000 円

〔決算時〕

(借方) 減価償却費 500,000 円 (貸方) 建 物 500,000 円

雑損失 1,000,000 円 仮 払 消 費 税 等 1,000,000 円

 

【回答】以下のような申告調整を行います。

・別表四 所得の金額の計算に関する明細書

スクリーンショット 2023-07-14 105443

【解説】

インボイス制度導入後(令和 11 年 10 月1日以降)は、税務上は適格請求書発行事業者以外の者(消費者、免税事業者又は登録を受けていない課税事業者)からの課税仕入れについて仮払消費税等の額はないこととなるため、仮に法人の会計において仮払消費税等の額として経理した金額がある場合には、その金額を取引の対価の額に算入して法人税の所得金額の計算を行うことになります(新経理通達 14 の2)。

本事例においては、法人の会計上、100 万円を仮払消費税等の額として建物の取得価額と区分して経理していますが、税務上は仮払消費税等の額はないことになりますので、この 100 万円は建物の取得価額に算入することになります。

ところで、本事例においては、建物の取得時に仮払消費税等の額として経理した金額を、決

算時に雑損失として計上しています。この雑損失の額は、本来は建物の取得価額に算入すべきものですが、「償却費として損金経理をした金額」として取り扱い、結果として償却限度額を超える部分の 95 万円を減価償却の償却超過額として当該事業年度の所得金額に加算することになります(新経理通達 14 の2(注)1)。

※ 建物減価償却超過額の計算

(10,000,000 円+1,000,000 円)×0.050=550,000 円(償却限度額)

(500,000 円+1,000,000 円)-550,000 円=950,000 円

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