建物の解体撤去費用の課税仕入れ区分について(個別対応方式・消費税)
2023年5月9日更新
建物付き土地を購入した時、建物を解体撤去する場合があります。
今回は、この建物の解体撤去費用の消費税法上の処理について説明したいと思います。
解体撤去費用が課税仕入に該当することは特に説明の必要がないかと思いますが、
個別対応方式を利用していた場合に、この課税仕入れの区分が問題となってきます。
課税仕入れの区分については、
① 課税売上げにのみ要する課税仕入れ等に係るもの
② 非課税売上げにのみ要する課税仕入れ等に係るもの
③ 課税売上げと非課税売上げに共通して要する課税仕入れ等に係るもの
上記3つに区分され、個別対応方式であれば、このいずれかに区分する必要があります。
では、建物の解体撤去費用はどの区分に該当するのか。
結論としては、解体撤去した目的に応じて判断することとなります。
つまり、
・ 解体撤去して土地を販売するとき
→土地の販売が非課税売上のため②の区分に該当
・ 解体撤去して賃貸用不動産(住宅用)を建設するとき
→住宅の賃貸は非課税売上のため②の区分に該当
・ 解体撤去して賃貸用不動産(事業用)を建設するとき
→事業の用に供する賃貸は課税売上のため①の区分に該当
・ 解体撤去して販売用の建物を建設するとき
→土地付き建物の販売は課税売上と非課税売上に共通するものであるため③に該当
・ 解体撤去した課税期間の末日までに土地の用途が決まっていないとき
→③に該当
なお、課税仕入れの区分については、課税仕入れを行ったときに判断を行えばよいとされています。
(課税仕入れ等の用途区分の判定時期)
消費税法基本通達11-2-20 個別対応方式により仕入れに係る消費税額を計算する場合において、課税仕入れ及び保税地域から引き取った課税貨物を課税資産の譲渡等にのみ要するもの、その他の資産の譲渡等にのみ要するもの及び課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するものに区分する場合の当該区分は、課税仕入れを行った日又は課税貨物を引き取った日の状況により行うこととなるのであるが、課税仕入れを行った日又は課税貨物を引き取った日において、当該区分が明らかにされていない場合で、その日の属する課税期間の末日までに、当該区分が明らかにされたときは、その明らかにされた区分によって法第30条第2項第1号《個別対応方式による仕入税額控除》の規定を適用することとして差し支えない。
すなわち、解体撤去をおこなったときの利用方針に従って判断すればよく、その後に利用方針を変更したとしても、課税仕入れの区分を変更する必要はありません。
上記の内容で相談等ございましたら、弊社までお気軽にお問い合わせください。