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使用人に記念品を支給した場合に給与等として課税すべきか否かについて

2021年8月17日更新

日常的に勤務している会社で、特定の時期や出来事によって、会社から特別に記念品の支給を受けることがありますが、そういった時には、使用者から使用人へ経済的な利益の供与があったとみなされ、所得税法第28条《給与所得》に規定する給与等として所得税が課税されることになります。
しかし、所得税基本通達28-5《雇用契約等に基づいて支給される結婚祝金品等》という例外的な取扱いが認められており、内容としては下記のとおりです。

○所得税基本通達28-5《雇用契約等に基づいて支給される結婚祝金品等》
使用者から役員又は使用人に対し雇用契約等に基づいて支給される結婚、出産等の祝金品は、給与等とする。ただし、その金額が支給を受ける者の地位等に照らし、社会通念上相当と認められるものについては、課税しなくて差し支えない。

この例外的な取扱いのポイントとなるのは、「支給を受ける者の地位等に照らし、社会通念上相当と認められるもの」というところです。この社会通念上相当という言葉には明確な答えはなく、広く一般に社会的な慣習から逸脱していないことという曖昧なものになっています。
また、所得税基本通達28-5には「結婚、出産等」という記述がありますが、「創業記念、永年勤続表彰」などについても例外的な取扱いとしてみることができます。「創業記念、永年勤続表彰」については、国税庁のタックスアンサーNo.2591《創業記念品や永年勤続表彰記念品の支給をしたとき》に例示等の記載があります。
出典:国税庁ホームページ(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2591.htm)

 なお、この経済的な利益の供与について、国税不服審判所のホームページにて「誕生日に記念品を支給した場合」の裁決事例が掲載されています。(事例では、記念品ではなく金銭になっています)
出典:国税不服審判所ホームページ(https://www.kfs.go.jp/service/JP/66/16/index.html)

 そもそも誕生日というのは、誰でも平等に毎年訪れるものであり、所得税基本通達28-5や国税庁のタックスアンサーNo.2591における結婚、出産、創業記念、永年勤続表彰のように長い間隔があくものではなく、如何に全使用人に対して実施していたとしても、使用者が使用人に対して誕生日を理由に相当額の記念品を支給することは、広く一般に社会的な慣習から逸脱していると認められ、所得税基本通達28-5の例外的な取扱いは適用されず、原則どおり所得税法第28条に規定する給与等として所得税が課税されると解されます。記念品を支給することが社会通念上相当ではないとする理由には、金額面以外にも支給期間の間隔も大事な要素となっています。

【永年勤続表彰の金額参考値】
10年:50,000円 / 20年:100,000円 / 30年:200,000円
【支給期間の間隔】
国税庁のタックスアンサーNo.2591に記載されている文面には「同じ人を2回以上表彰する場合には、前に表彰したときからおおむね5年以上の間隔があいていること。」とあるため、それを準用して考えるのが妥当

上記の内容で相談等ございましたら、弊社までお気軽にお問い合わせください。

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