遺留分の清算として相続対象の不動産を渡した場合の課税関係について
2021年7月13日更新
相続が発生した場合に遺言書の存在が出でくるケースはありますが
内容によっては『遺留分』の問題が発生する事があります。
2018年の民法改正により遺留分制度が見直され、権利の名称が
『遺留分減殺請求権』から『遺留分侵害額求権』に変更されました。
相続財産を現物で返還する事を原則として、例外的に金銭交付により
返還義務を免れるという物権的効力から。金銭の支払を原則とする
債権的効力に改められました。
その結果、従来の相続対象となった財産を遺留分に関する権利行使で不動産を
共有持ち分などとしても、譲渡所得として課税関係は生じないとされてました。
しかし民法改正により2019年7月以降に開始した相続からは、相続で不動産を
取得した財産を金銭の支払の代わりに遺留分請求者に現物返還した場合は
譲渡所得として課税関係が生じる事になります。
また上記以外のデメリットでは遺言で取得した不動産を遺留分請求者に
遺留分の清算として渡した場合、遺留分請求者は相続以外での取得した
不動産となる為に不動産取得税がかかり登記費用が高くなります。
そして申告期限前に遺留分請求者の名義に不動産名義を変更した場合や
事業用資産などでも申告後継続要件が満たされない時に小規模宅地の
特例が使えない結果になる場合も条件次第であるため注意が必要です。
但し回避方法として遺言通りにする方法以外で遺留分の清算が現物不動産に
なりそうな場合は遺産分割協議に切り替える事も可能なために民法改正の
影響を受けずに済むことができそうです。
(民法1046条・所得税基本通達33-1の6・所得税基本通達38-7の2)
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