所得税において誤りやすい事例
2023年3月13日更新
①【誤った取り扱い】
個人が法人に対して、時価3,000万の不動産を1,000万円で売却したため、譲渡価格は1,000万円として譲渡所得の計算をした。
【正しい取り扱い】
個人が法人に対して、時価の2分の1未満の価格で譲渡した場合には、時価(事例の場合は、3,000万円)により譲渡したとみなされる(所法59①二、所令169)
なおその法人は、譲受価格と時価との差額(事例の場合は2,000万円)を受贈益として益金の額に算入しなければならない(所法22②)
②【誤った取り扱い】
父は、自身が所有する時価3,000万円の不動産を1,000万円で長男に譲渡したが、時価が3,000万
円であったため、譲渡価格は3,000万円として譲渡所得の計算をした。
【正しい取り扱い】
父は、譲渡価格を1,000万円として譲渡所得の計算を行い、長男は、時価と売買価格との差額2,000万円ついて贈与税が課税される(所法36①、相法7、個別通達平元3.29直評5)
なお事例では、時価の2分の1未満の価格で譲渡した場合に該当するので、父の譲渡価格が取得費と譲渡費用の合計額に満たないときは、その不足額は譲渡所得の計算上なかったものとみなされる。(所法59②、所令169)
③【誤った取り扱い】
相続により取得した不動産を売却した場合の譲渡所得の計算において、当該不動産を相続する際に
他の相続人に支払った代償金を、取得費に加算した。
【正しい取り扱い】
相続財産を取得する際に支払った代償金は、譲渡所得の計算上、取得費に加算することはできない。(所基通38-7(1))
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