地方公共団体の災害復旧費はどこから出ているのか
2023年7月18日更新
地方公共団体が災害に見舞われたとき復旧に莫大なお金が必要となります。今月の10日にも九州北部各地で線状降水帯が発生し、河川の氾濫や土砂災害が相次ぎました。このように災害発生の地域や時期、規模の予測は非常に困難です。加えて、災害復旧に必要な費用は莫大かつ大きく変動します。
こうした特性を有する自然災害によって施設等が被災し、災害復旧事業を実施するにあたっては、災害復旧等の事業実施に伴う大きな費用への対応が必要になります。これを個別の地方公共団体のみで負担することは困難または非効率であり、国の支援が必要不可欠です。
そこで災害が発生した場合、地方公共団体はどういった手続きをとるのかご紹介します。
地方公共団体は自然災害によって被災した箇所について災害復旧を申請し、それに基づいて災害査定が行われ、災害復旧事業費が決定します。災害復旧関係事業における国庫負担は2/3以上*と非常に高い割合になっています。
*年間の災害復旧事業費が、
標準税収の1/2を超え、2倍に達するまでの額に相当する額については75%が国費
標準税収の2倍を超える額に相当する額については100%国費
国庫負担率が2/3の場合、残りの1/3を地方公共団体が負担することとなるが地方債を発行することによっての充当が可能で、かつ発行したうち95%を国から交付税によって措置してもらえるので、地方公共団体の実質的負担は1.7%となります。
また、国の災害査定を待たず、被災直後からでも被災直後からの復旧工事が可能です。災害審査前に実施した復旧工事も、災害復旧事業に合致するものすべてが国庫負担の対象となります。さらに、仮道、仮締切、決壊防止など、応急的に施工する必要がある仮工事も国庫負担の対象となります。このことから、国の査定前でも迅速な工事着手が可能となっています。