公益法人会計基準の改正について
2021年8月17日更新
現在の公益法人制度は平成20年に大幅な改正が行われ、公益法人の皆様は制度・会計基準の移行業務に頭を悩まされたことと思います。公益法人でない方や平成20年以降に公益法人設立された方におかれましては、「社団法人・財団法人」という区分から「一般社団・財団法人」「公益社団・財団法人」に名称が変わった時と言えば、記憶の片隅にあるかもしれません。
それから12年が経過しましたが、その間、国が管理する「公益法人の会計に関する研究会」において、公益法人会計の在り方について毎年検討が行われてきました。
令和2年度の研究会報告によると、検討項目の一つに、「正味財産増減計算書」の名称変更があります。これは株式会社における「損益計算書」と同等の決算書類です。名称は「活動計算書」になり、記載内容の変更については引き続き検討されています。しかし名前が変わるだけでは意味がないので、内容も変更されることが予想されます。
公益法人と似た組織にNPO法人がありますが、その会計においても「活動計算書」という名称が採用されています。この活動計算書の様式においては「当期正味財産増減」(=当期利益)という項目があり、現在の公益法人会計基準とほぼ同じ様式となっています。
今後、検討されている公益法人会計基準の「活動計算書」はNPO法人のものとは全く別物で、さらに様式は複雑になることが検討されています。ただでさえ公益法人の皆様は、公益事業・実施事業・収益事業・共益事業・法人会計等の区分経理に苦労されていることと思いますが、指定正味財産の増減をさらに明瞭・詳細に区分経理することが検討されています。
令和3年8月12日に研究会より、「活動計算書」等に関する有識者へのヒアリングが行われることが発表されました。残念ながらヒアリング対象者に、会計事務所のような実務者が対象になっていないのですが、今後どういう意見が出てくるのか注目が必要です。
公益法人の皆様におかれましては、会計ソフトの対応や新様式に向けた初期設定について準備が必要と思われます。
研究会の方針が確定次第、弊社の公益法人部門にてご支援させて頂きますので、お気軽にお問い合わせください。