住民税の特別徴収について
2015年4月9日更新
事業主は、全ての従業員の給与から、個人住民税を特別徴収(給与天引き)により収める義務があります。
この特別徴収制度について、昨今要請が強くなってきており、各市町村より普通徴収を選択した場合の追求が厳しくなってまいりました。
ここ数年で特別徴収に切り替えた事業者様も多いのではないでしょうか?
特別徴収(給与天引きによる事業主の納付)と、普通徴収(個人納付)とは、年末調整時に作成される給与支払報告書(源泉徴収票と同形式の書類)を1月31日迄に、給与所得者の1月1日時点での住所地の各市町村へ報告することにより選択されますが、特別徴収で報告した従業員が退職した場合の取扱いを皆様はご存知でしょうか?
まず、退職等の従業員の異動があった場合は、その従業員の住所地の市町村へ、異動があった日の翌月10日までに『異動届』を提出します。
その上で退職のタイミングにより、残りの税額の納付形態が変わってくるので、3点にまとめます。
①.6月1日から12月31日までに退職した場合
特別徴収できなくなった残りの税額は、普通徴収に切り替えることとなり、退職した従業員が直接納付することとなる。
②.翌年1月1日から4月30日までに退職した場合
この期間については、法令により特別徴収できなくなった残りの税額については、退職者に5月31日までに支給される給与、退職金等の金額が残りの特別徴収税額の金額を超える場合は、その給与、退職金等から残りの税額を控除して一括して特別徴収により納付する必要があります。
③.前年まで住民税がかかっていなくて、今年初めて住民税がかかる従業員が給与支払報告書を提出した年の1月1日から4月30日までに退職した場合
住民税の納付書は6月10日納付分から事業主宛に送付されますが、特別徴収の報告をしたが、その納付が始まる前に従業員が退職した場合についての取扱いは、特別徴収のパンフレット等にも記載されていません。
このような場合には、異動届の備考欄に「平成○○年分住民税について」と、この6月10日から納付が始まる年分の住民税についての届出であることが明確にわかるように記載して提出します。
すると、各市町村に普通徴収に切り替えてもらえます。
各市町村において、様式に若干の違いもありますので、このようなイレギュラーな事態が起こった場合は、電話でも内容を詳しく教えて頂けます。
また、この特別徴収は基本的には毎月納付となりますが、源泉所得税のように納期の特例(年2回の納付)を選択することもできます。
住民税の納期の特例は、従業員の人数が10人未満の事業所となり、源泉所得税の納期の特例と同じ要件となっております。
この要件に該当する場合は、市町村へ申請し、承認を受けることにより年2回の住民税の納付となるのですが、この特例利用時の納付期限は6月10日及び12月10日となります。
源泉所得税の納期の特例時の納付期限よりそれぞれ1月早くなりますので、この特例の適用を考えている場合は注意して頂きたいと思います。