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令和5年分の年末調整の変更点

2023年11月8日更新

変更点は大きく3つあります。
〇居住者である扶養親族に係る扶養控除の適用要件変更
〇住宅ローン控除の要件変更
〇扶養控除申告書に「退職手当を有する配偶者・扶養親族」と「寡婦又はひとり親」の欄追加

1.居住者である扶養親族に係る扶養控除の適用要件変更
(1) 令和5年1月から、扶養控除の対象となる非居住者である扶養親族は、次に掲げる人とされました。
 イ. 年齢16歳以上30歳未満の人
 ロ. 年齢70歳以上の人
 ハ. 年齢30歳以上70歳未満の人のうち、次のいずれかに該当する人
  (イ) 留学により国内に住宅及び居所を有しなくなった人
  (ロ) 障碍者
  (ハ) 扶養控除の適用を受けようとする所得者からその年において生活費又は教育費に充てるための支払いを38万円以上受けている人

これまでは16歳以上の国外居住者(非居住者)はすべて扶養控除の対象でしたが、令和5年分の年末調整からは、国外居住者のうち16歳以上30歳未満、もしくは70歳以上の扶養親族がいる場合に控除が適用されます。

非居住者の扶養親族が30歳以上70歳未満である場合は、「留学生」「障碍者」「扶養者から38万円以上の送金を受けている」のうちいずれかに該当すれば、扶養控除の対象となります。

なお、年末調整の際に提出が必要な確認書類をまとめると以下の通りとなります。

【扶養控除にかかる確認書類】
 • 16歳以上30歳未満又は70歳以上(従来通り)
  ・・・親族関係書類、送金関係書類
 • 30歳以上70歳未満(改正あり)
  ①留学により国内に住所及び居所を有しなくなった者
  ・・・親族関係書類及び留学ビザ等書類、送金関係書類
  ②障碍者
  ・・・親族関係書類、送金関係書類
  ③その年において生活費又は教育費に充てるための支払いを38万円以上受けている者
  ・・・親族関係書類、38万円送金書類

【配偶者控除、配偶者特別控除又は障害者控除に係る確認書類】
 • 配偶者控除、配偶者特別控除(従来通り)
  ・・・親族関係書類、送金関係書類
 • 障害者控除(従来通り)
  ・・・親族関係書類、送金関係書類

これらの控除適用条件に当てはまる場合は、年末調整の「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」において申告する必要があります。申告書の「控除対象扶養家族」の欄にチェック項目が設けられているため、該当する条件にチェックを入れましょう。

2 住宅ローン控除の要件変更
住宅ローン控除の適用期限は令和3年(2021年)12月31日とされていましたが、令和7年(2025年)12月31日までに延長されました。これに伴い、令和4年(2022年)以降に住宅ローンを利用した場合、上限額や控除額が変更となります(令和5年より適用)

(1) 適用期限の延長に伴い減税措置の変更
 • 控除率を1%から0.7%に引き下げ
 • 控除期間は新築住宅について原則13年、ただし「一般の住宅」で令和6年以降に居住した場合は10年
(2) 省エネ住宅の借入上限額の上乗せ
(3) 所得要件の引き下げ
 • 適用対象者の所得要件が3000万円以下から2000万円以下へ引き下げ
新築数要件廃止
 • 既存住宅の要件について、築年数要件が廃止
(4)築年数要件の廃止
 • 既存住宅の要件について、築年数要件が廃止
(5)新築住宅の適用床面積要件の緩和
 • 床面積要件が50㎡から40㎡に緩和(合計所得金額が1,000万円以下)
(6)中古住宅は現行の10年で据え置き
 ほとんど実務的に影響はないですが、控除率が引き下げられる影響は本年の年末調整よ
り発生しますので、控除額を計算する際は注意が必要です。

3 扶養控除申告書に「退職手当等を有する配偶者・扶養親族」と「寡婦又はひとり親」の欄追加
「住民税に関する事項」についての記載は、令和4年までは「16歳未満の扶養親族」についてのみだけでしたが、改正により、「退職手当等を有する配偶者・扶養親族」と「寡婦又はひとり親」の記載が追加されました。
これは、退職所得における、所得税と住民税の計算の考え方が異なることに起因しています。扶養控除や配偶者控除の適用を受ける場合は、配偶者等の合計所得金額が48万円以下である必要があります。
ただし、所得税の計算では、退職所得は合計所得の額に含めますが、住民税の計算では退職所得の金額は含めません。
上述した通り、住民税では控除適用を受けることができるにもかかわらず、適用されていないケースが多かったため、今回追記されることとなりました。

まとめ
令和5年分の年末調整では、「扶養控除等が適用される国外居住親族の範囲が一部変更」「住宅ローン控除の期間・控除率などが変更」「配偶者や扶養親族に退職所得が見込まれる場合は要申告」と3点が変更となります。
年末調整の書類をただしく記入しましょう。

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