TOP > スタッフブログ > お役立ち情報 > 令和4年度の査察について

令和4年度の査察について

2023年7月14日更新

1.査察制度とは

  査察制度は、悪質な脱税者に対して刑事責任を追及し、その一罰百戒の効果を通じて、 適正・公平な課税の実現と申告納税制度の維持に資することを目的としています。

国税査察官は、近年における経済取引の広域化、国際化及びICT化等による脱税の 手段・方法の複雑・巧妙化など、経済社会情勢の変化に的確に対応し、悪質な脱税者に対して厳正な調査を実施しています。

 

2.査察調査の概要

【令和4年度の取組】

○検察庁に告発した件数は 103 件、脱税総額(告発分)は 100 億円

悪質な脱税者に対して厳正な査察調査を実施し、103 件を検察庁に告発しました。告発した査察事案に係る脱税総額は 100 億円であり、1件当たりの脱税額は 97 百万円でした。新型コロナウイルス感染症の影響を強く受けた令和3年度と比較して、告発件数及び脱税総額ともに大幅に増加し、また、告発率は 74.1%と平成 18 年度以来の高水準となりました。

 

○消費税事案、無申告事案、国際事案のほか、その他の時流に即した社会的波及

効果の高い事案を積極的に告発 消費税事案では、輸出物品販売場を営む法人が国内で仕入れた化粧品を外国人観光客に販売したように装い架空の課税仕入れ及び架空の輸出免税売上げを計上した事案や、複数の法人がパワーストーンの仕入れがあったように装い架空の課税仕入れを計上した事案などの不正受還付事案を多数告発しました。

また、ウェブサイト上で競艇の予想情報を販売する個人事業者などの無申告事案や外国法人を利用して不正を行っていた大規模な国際事案を告発しました。その他、近年、市場規模が拡大しているトレーディングカード販売業者の事案、SNSを利用して多数の給与所得者に所得税の不正還付を指南していた事案や下請業者から受けた資金提供を隠匿して自己の収入としていた元請会社の従業員の事案など、社会的波及効果の高い事案を告発しました。

 

【令和4年度中の主な判決】

○一審判決 61 件全てに有罪判決が言い渡され、3人に対して実刑判決

実刑判決のうち、査察事件単独で最も重いものは懲役1年4月、他の犯罪と併合されたものは懲役2年8月でした。

 

3.重点事案への取組

(1)消費税事案

輸出物品販売場を利用した消費税不正受還付事案を告発

架空の課税仕入れを計上するとともに、外国人観光客に対する架空の免税売上げを計上するなど、輸出物品販売場における輸出免税制度を悪用した不正受還付事案を告発しました。

 

【事例】

A社は、日用品の輸出販売のほか、輸出物品販売場の経営等を行うものですが、取引事実がないにもかかわらず、不正加担者と共謀して、同人が主宰する法人から化粧品等を仕入れたかのように装い架空の課税仕入れを計上し、当該化粧品等を輸出物品販売場において外国人観光客に販売したかのように装い架空の免税売上げを計上する方法で、不正に消費税等の還付を受け、又は受けようとしました。

スクリーンショット 2023-07-14 110016

(2)無申告事案

相続税の無申告ほ脱事案を告発

相続した現金を複数の場所に隠匿するなどして取得財産を秘匿していた相続税の 無申告ほ脱事案を告発しました。

 

【事例】

Cは、親族の死亡に伴い多額の財産を他の相続人とともに共同相続したものですが、相続財産である現金を複数の場所に隠匿した上で、相続税の申告書を申告期限までに提出せずに、多額の相続税を免れていました。

 

 

4.不正資金の留保・費消状況及び隠匿場所

脱税によって得た不正資金の多くは、現金や預貯金として留保されていましたが、 不動産の購入や有価証券等への投資のほか、脱税者が費消していた事例もあり、不正 資金の一部から数千万円の高級車両や高級腕時計が購入された事例、競馬等のギャン ブルや高級クラブの遊興費として数百万円から数千万円が支出された事例などもみら れました。 また、脱税によって得た不正資金の隠匿場所は様々でしたが、

○ 居宅の床下に置かれた袋の中

○ 銀行の貸金庫の中

○ 居宅等のクローゼット内に置かれた金庫の中

に現金を隠していた事例などがありました。

 

(国税庁ホームページより一部抜粋)

 

▲ページトップへ