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マイレージサービスに代表されるポイント制に係る消費税の取扱い

2018年5月1日更新

流通や航空業界での利用度が高いポイント制のすそ野が広がっており、交換して発行企業以外でも使用できるなど「疑似通貨」の機能を持つポイントも出てきている。
家電量販店のポイントシステムや航空会社のマイレージサービスなど種類は多種多様に及んでおり、ポイントとマイルの相互流通や航空業界での利用度が高いポイント制のすそ野が広がっており、交換して発行企業以外でも使用できるなど「疑似通貨」の機能を持つポイントも出てきている。
家電量販店のポイントシステムや航空会社のマイレージサービスなど種類は多種多様に及んでおり、ポイントとマイルの相互交換もでき、貯まったポイントは商品代金の値引きや景品・商品券・電子マネーとの交換に利用できる。
このようなポイントについて、平成19年1月直近決算期における未使用ポイントの負債総額は上場企業で3,200億円超と報じられており、また、経済産業省も平成19年7月2日に「『企業ポイントのさらなる発展と活用に向けて』(企業ポイント研究会取りまとめ)について」を発表したが、今回はガイドラインなど新たなルール作りは見送られたところである。
さらに、平成19年7月25日付新聞報道によると、欧州など世界約100ヶ国で利用されている国際会計基準を作る専門家組織の国際会計基準理事会は、顧客が利用するまでポイントに相当する金額を売上から除外し、負債として計上するという、「ポイント」の会計処理として初の統一指針をまとめたと報じられている。
そのような状況ではあるが、我が国法人税法上、ポイントについて明確な規定や取扱いを明らかにしているものがないのが現状である。
そこで、ポイント制について、各種情報を収集するとともに研究し、ポイントの発生、交換(売買)、利用に係る消費税の取扱いを考察するものである。

○消費税法上の取扱いについて
現在のポイントは色々な性格が混在しているため、その発生、流通、利用等の各取引時点における対価性(無償取引)の有無とその取引の性格から、ポイントの課否判定すべきと考える。そして、擬似貨幣と考えられる企業通貨としてのポイントを、そのある位置(形態)から検討すると、次のような取扱いが相当と考えられる。

① ポイントの発生、発行、付与時は不課税
② ポイントの流通(企業間、消費者間、消費者と媒介業者間)では、交換、売買ともに非課税(企業間での新規発行は①の不課税と同取扱い)
③ ポイントの利用(消費者と発行企業(提携企業を含む)間)では、
 ・景品交換は不課税(景品の仕入れは課税取引)
 ・商品券交換は不課税(商品券利用時は課税取引)
 ・電子マネー交換は不課税(電子マネー利用時は課税取引)
 ・現金交換(キャッシュバック)は課税(対価の返還) (提携企業の場合は不課税)
 ・値引割引(支払代金の控除相殺)は不課税(差額支払金額の対価が課税取引)
④ ポイント利用に係る提携企業からの請求等は、
 ・支払側は課税(販売促進費)
 ・入金側は不課税
⑤ ポイントの期末残高は対象外

○結 論
ポイントを自己完結型のものと提携型のものとに区別すると、下記のように取り扱うのが理論的である。
1) 自己完結型
 販売者側・・・ポイント控除後で課税売上
 購入者側・・・ポイント控除後で課税仕入

2) 提携型
 販売者側・・・ポイント控除前の金額で課税売上
 購入者側・・・ポイント控除後で課税仕入

提携型のポイントについては、販売者側である加盟店は付与した時点で債務の確定、行使された時点で債権の確定が行われる。一方で、購入者側では行使するまで値引きが確定されないので、理論上は上記のような処理になると考えられる。
ただし、消費税の性格上、1つの取引について非対称が生じてしまうことは、消費税の中立性の観点から疑問が残る。また、現在は仕入税額控除について帳簿による控除なので採用可能であるが、将来インボイス方式が採用された場合は問題が生じる。
そこで、取引の対称性に配慮すると、下記のように位置づける必要がある。
 販売者側・・・ポイント控除後の金額で課税売上
 購入者側・・・ポイント控除後で課税仕入
この段階では、対称性を維持するために、実際の支払額で処理せざるを得ない。
その上で、ポイント部分について、販売者とポイント仲介者の間で、①債権の譲渡と考えて非課税取引として処理、②ポイント行使部分に対する対価性のない給付と位置づけ対象外取引としての処理、③ポイントの仲介者が提携企業のポイントを個別管理していることを条件に、ポイント付与時に預け金の処理、行使時に預け金の戻りとする処理などが考えられる。
いずれに該当するかは、ポイント仲介者との契約内容によって判断すべきである。

3) ポイントが完全に支払手段としての性格を有する場合
 販売者側・・・ポイント控除前の金額-ポイント付加額で課税売上
 購入者側・・・ポイント控除前の金額-ポイント付加額で課税仕入

仮に、ポイントが完全に支払手段としての性格を具備するのであれば、購入者側は、購入時に付加されたポイント分の対価の返還が実現されていると考えられ、取引の対称性が保たれる。

4) 事務上の対応
現在、ポイントと呼ばれるものに複数の類型が存在しており、ポイントの処理として画一的な処理にはならないと考えるべきである。
自己完結型については、比較的シンプルで、税大論叢通りの処理で問題ないと考えられる。しかし、提携型で理論上非対称となる場合は、レシート上の内容はあくまでもレジシステムとしての表示と割り切り、税法上の取扱いについては契約形態に応じて十分な検討が必要と考えられる。

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